工夫次第で階段も体力増強の場に
介護老人保健施設 寿生苑(出雲市上塩冶町2862‐1)
作業療法士 祝部 昭子さん(53)
施設などで行う通所リハビリと違い、訪問リハビリでは、患者の生活の場で具体的な指導ができる。本人には「あなたの家の階段なら、ここに手を掛けよう」。介護する家族には「まず本人に頑張ってもらって、お尻がここまで上がったら手を添えて」。
その家にある段差や階段での体の動きを計算し、本人が興味を持って取り組める訓練を考えるために、これまでの生活についてじっくり話もする。世話をする家族が80歳代で腕力が弱ければ、それでも可能なやり方を工夫する。家族の「介護力」を見極める力が、スタッフには必要なのだ。
「リハビリはやりがいのある仕事。資格があればいいのではなく、経験が大事なんです」と熱く話すのは介護老人保健施設「寿生苑」(出雲市上塩冶町)の作業療法士、祝部昭子さん(53)。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など専門家で作る「島根訪問リハビリテーションネットワーク」の代表として、研修会を開いて技術の向上に努め、情報交換を図っている。
目標は、人材育成と、「在宅でこんなにリハビリができると広く知ってもらうこと」。患者の生活に合わせたリハビリに取り組み、身体の機能回復に加え、社会参加も目指して、祝部さんたちは活動を続けている。