しまねの地域包括ケア

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訪問看護師を知ろう!

利用者の心に寄りそったサポートを

 在宅で医療・介護サービスを受けるに当たり、医師やケアマネジャーなどとともに要となるのが訪問看護師だ。県内70カ所の訪問看護ステーションから派遣される〝看護のプロ〟が専門家の目で利用者を見守り、看護ケアやアドバイスなどをして、自立への支援や療養生活のサポートをしている。

島根県看護協会訪問看護ステーションいずも (出雲市姫原1丁目7‐14)

看護師 角田 奈美さん(26)

多職種間の連携が不可欠

「熱が下がり笑顔も出てもう大丈夫そうですね」。出雲市内の自宅で療養生活を送る栗原晃さん(34)のベッド脇で血圧や血中酸素濃度を測りながら訪問看護師の角田奈美さんが声掛けすると、晃さんも大きく声を出して笑った。交通事故の後遺症で4年前から在宅生活を送る晃さんを週5日、角田さんら訪問看護師が交代で訪れ、情報を共有しながら支えている。
 角田さんが勤務する訪問看護ステーションいずもの訪問看護師は14人。1人の訪問看護師が1日に3〜4軒、月に70軒前後を回る。50代が主力の職場にあって勤務3年目の角田さんは最年少だ。
 医師の指示書にそった計画に従い、日々の食事摂取量、排尿・排便状況の確認とケア、痰の吸引、医療機器の点検や体を拭いたり洗髪といった清潔支援、軽いストレッチなどを行い、健康管理面に細心の注意を払いながら家族ら介護者の相談にも乗る。晃さんの介護を続ける母親の一恵さん(64)は、「具合が悪い時、日々の状況を知っていて専門知識がある人なので安心して相談ができる」と信頼を寄せている。
 島根県立大学短期大学部(現・出雲キャンパス)看護学科在学中にボランティア活動に参加、「訪問看護師の支援で外出を喜ぶ利用者の姿を見て訪問看護師の仕事に魅力を感じた」のがきっかけ。東京で3年間の病院勤務・研修を経て現職に。「先輩からもっと多くのことを学び、利用者の方の人生観にそった支援を続け、心を許してもらえるような訪問看護師になりたい」とこの仕事に懸ける思いを語った。

訪問看護師が果たす役割

在宅で安心して暮らす支えに

有限会社ホットケアセンター (浜田市熱田町705番1号)

代表取締役 山根 優子さん(60)

在宅で安心して暮らす支えに

 「在宅で医療を受けたいと望む人は増えており、訪問看護師の必要性は高まっている」。浜田市熱田町を拠点にして訪問看護事業などを展開しているホットケアセンター代表取締役の山根優子さん(60)は強調する。
 訪問看護師は、患者が日ごろ生活している自宅や福祉施設、有料老人ホームなどに足を運び、健康状態や薬の服用状況を管理するなど専門的なケアを施す。「患者が在宅で安心して暮らすための支えとなるのが、訪問看護師の役割」と山根代表は話す。主治医による「訪問看護指示書」に基づき、介護ヘルパーなどとも密接に連携を図り、患者と接する。
 2005年に設立した同センターは当初、訪問看護師6人の態勢で約40人を対象にサービスを提供し、訪問件数は月間約300件だった。高齢化の進展や国の方針によるニーズの高まりに伴い、現在は訪問看護師を14人に増やして約150人に対応し、訪問件数は月間約1300件に上るなど事業を拡大している。

これからの課題

 山根代表が課題に挙げるのはマンパワーの不足。訪問看護師の数は少しずつ増えてはいるが、在宅医療を求めるニーズの増加に追いついていないという。看護師育成の現場でも「病院志向を対象とした教育が主流」として「在宅医療を志す看護師を育てていく必要がある」と指摘。島根県訪問看護ステーション協会浜田支部長として、研修プログラムの開発を提唱するなど、訪問看護師を養成する大切さを説く。

利用者の声

利用者の声

 腸の病気や高血圧症などの持病を持ち、浜田市熱田町のホットケアセンターの訪問看護サービスを受けているのが、近くに住む岩舘溢子さん(81)。同センターが同所で運営する施設「ほっとの家」に週4日通い、自宅でも週1日、訪問看護を受ける。「病院に通わなくても体の具合を見てもらえるので、年寄りには助かる」と看護師の訪問に感謝する。
 病気がちな夫と2人暮らしで、娘も遠く離れて住む岩舘さんにとって、健康状態や薬の管理などに気を配ってくれる訪問看護師は、自宅で生活しながら健康を維持する上で欠かせない存在。夜間に急に体調が悪くなり、対応してもらったこともあるという。サービスを受け始めた昨年5月以降は「1回も入院したことはない」と笑顔を見せる。

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