「現場へGO!」をキャッチフレーズに行った第13回しまね小中学生新聞コンクールには、小学校119校、中学校34校から合わせて5038点の手作り新聞が寄せられました。優秀な成績を収めた学校に贈る「学校賞」は、小学校4校、中学校6校に決定しました。受賞校の声と、3年連続で受賞した大田市立大田西中学校の取り組みを紹介します。
大田市立大田西中学校(大田市仁摩町仁万)は、3年連続5度目となる学校賞受賞です。毎年、全校生徒がコンクールに応募しており、新聞を活用した授業や取り組みが学校の伝統になっています。
新聞作りは、総合学習の時間で行います。1年生は地元の世界遺産・石見銀山遺跡を題材にした銀山学習、2年生は京都への修学旅行、3年生は地域での職業体験がテーマ。一人一人が、通年で学んだことや興味を持ったことに焦点を当て、体験や調べ学習の成果を新聞にまとめています。
2年連続で佳作に入った3年生の松浦由奈さん(15)は、美容室での職業体験を新聞にしました。体験内容や美容師へのインタビューに加え、美容師国家資格取得までの流れを図にして分かりやすい紙面を心がけたといい、「色使いやレイアウトを工夫しました。新聞作りは毎回大変だけど、達成感があります」と振り返りました。
入選した2年生の辻瑚乃美(このみ)さん(14)は、修学旅行先の京都について、大田市と同じく世界遺産があるという視点を交えて新聞を制作。金閣寺や銀閣寺の魅力を紹介し、石見銀山遺跡との共通点には町並みの建物を木造にしたり、電線を地中化したりして景観を守っていることを伝えています。作品には随所に手描きのイラストを添えており、「どうすればより伝わるかを考えました。面白かったです」と話しました。
同校は長年新聞作りを続け、2021年から3年間はNIE実践校として取り組みました。校内には先輩たちの優秀作品を掲示。文化委員の生徒が日替わりで選ぶ注目記事の切り抜きも張り出されています。新聞コンクールへの参加率は県内中学校で1位でした。
担当する西本浩司・国語教諭(61)は、新聞作りで養われる力は国語だけでなく、多岐にわたるとし、「大田西中には参考になる過去の良い紙面があり、伝統もあります。新聞作りは自身の考えをまとめ、伝える力に反映されています」と成果を感じ取っています。
総合的な学習の時間に調べたり、体験したりしたことを、5、6年生が新聞にまとめました。読む人により伝わるよう、見出しやレイアウトを工夫し、一人一人が仕上げました。相手意識を持ち、発信する力を今後も高めてほしいと思います。(校長・川本徹)
総合的な学習の時間や社会科で、見学したり、体験したり、調べたりしながら学習したことを自分でまとめ、新聞に表現しました。どのことを書こうか、どの内容にしようか、見やすくするにはどうすればよいかなど、新聞作りを通し、学年に応じて表現する力を高めてほしいと思います。(校長・小林裕昌)
今年も住んでいる地域の課題に目を向けたり、日頃の読書活動から抱いた疑問を解決したりしながら、新聞にまとめました。情報を整理し、工夫しながら「新聞で表現する良さ」を実感する子どもたちが増えてきていることをうれしく思います。(校長・南博喜)
高学年は平和学習で学んだこと、低学年は自分が興味を持ったことについて調べ、一人一人が工夫しながら新聞にまとめました。今後もこのような活動を通して、言語力や表現力などを育成していきたいと思います。(校長・竹下和宏)
大切なふるさと教育として、地域探訪や職場体験などを継続してきました。肌感覚で得た自分だけの情報や学びは、デジタルよりも紙面に表現した方が多くの人に伝わる気がします。受賞を機に新聞の良さを再認識し、今後の学習活動につなげていきたいと思います。(校長・西村睦)
1年生は自治会訪問、2年生は修学旅行、3年生は職場体験をテーマにした新聞作りを行いました。自分が感じたことや考えたことを工夫してまとめました。紙面からは、学年を追うごとに視野が広がり、新たな気づきが多いことがうかがえ、自己の生き方への展望を持つことにもつながっていると感じています。(校長・兼子史寛)
「社会科」の学びから、自分の感性や価値観で「主体的」に考察対象を決め、多くの人に伝えるために取り組んでいます。新聞作りの作業を通じ、内容理解が深まるだけでなく、多角的な視点を持つことができるようになっていると感じています。(校長・小山内仁)
本年度も各学年が掲げるテーマのもと、新聞制作を通して思考力や判断力を高め、各自の思いを発信する力などを育む活動ができました。来年度以降は、さらに新聞制作のプロセスを充実させ、子どもの資質能力の向上を目指します。(校長・伊藤浩二)
各学年とも総合的な学習の時間に学んだことをテーマに、レイアウトを工夫しながら作成しました。互いの作品を鑑賞し、それぞれの良さを認め合うことも大切にしています。新聞作りを通して、考えを分かりやすく表現する力が育っています。(校長・林衛)
1年生は福祉体験学習、2年生は修学旅行、3年生は職場体験学習などの体験からの学びを文字だけでなく、読み手を意識しながら写真やイラスト、図を取り入れるなど、工夫を凝らしてまとめています。これからも、この活動を通して表現力などを育成したいと思います。(校長・兒玉浩二)