第11回しまね小中学生新聞コンクール

学校賞

コロナ下でも地道に調査 学校賞に小中学校各5校

 「あなたの『今』を記録しよう!」をテーマに開催した第11回しまね小中学生新聞コンクール。コロナ下での新聞作りももう3度目。まだまだ自由に出かけられない中、疑問や気になることを自分なりに調べ、記録した作品が126の小学校と34の中学校から5964点届きました。優秀な成績を収めた学校に贈る「学校賞」は小中学校各5校に決定。受賞校の声と、7年連続受賞の大田市立北三瓶小学校の取り組みを紹介します。

自作を手に学校賞受賞を喜ぶ北三瓶小学校の児童=大田市三瓶町、北三瓶小


三瓶の宝や魅力発見 大田・北三瓶小 7年連続受賞


 7年連続で学校賞を受賞した大田市立北三瓶小学校は国立公園・三瓶山麓にある全校児童11人の小学校です。11人全員が応募し、4人が入選、1人が佳作に選ばれました。掘江真佐邦校長(57)は「何より子どもたちの励みになる」と喜んでいます。

 児童は国語や社会の時間を使い、本や観光パンフレットで情報を集めたほか、地元の駐在所や消防団を訪ね「地域を守るヒーロー」として紹介しました。

 主なテーマになったのは、日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史」の構成文化財です。三瓶山をはじめ、最近では将棋の藤井聡太六冠や羽生善治九段が訪れて話題になった、4千年前の噴火で埋もれた巨木を展示する三瓶小豆原埋没林公園など豊かな資源に着目しました。

 6年生は昔ながらの六調子の舞が特徴の多根神楽を記事化しました。牛尾篤人君(12)は「情報を調べてまとめるのは難しいけど、うまくできたら楽しい」と活動を振り返りながら「田舎だけど文化がいろいろあって面白い。(新聞を読んでもらい)多根神楽の認知度が高まるとうれしい」と期待しています。

 緑豊かな男三瓶山と女三瓶山を背景に「三瓶山新聞」を作り上げたのは4年の田和大芽君(10)。名松・定めの松や温泉などの概要を情報カードに書き出してから文章を構成しました。「調べるのは地道な作業だったけど、三瓶の良さがよく分かった」と話します。

 11人の児童のうち兵庫県出身の牛尾君、大阪府出身の田和君ら4人が山村留学生として学んでいます。新聞作りは地元の子どもたちが地域の宝を再認識するだけでなく、県外出身の児童が三瓶の魅力に触れるきっかけの一つになっているようです。



受賞校の声 ※かっこ内は受賞回数

出雲市立塩冶小学校(初)

 塩冶小では1年間、「自分の考えを進んで伝える児童」の育成を目指して取り組んできました。新聞作りは、相手意識をもって自分の「思い・考え」を伝える一つの手段として各教科などで取り組んでいます。今回の受賞で、さらなる成長を目指して取り組んでいきます。(校長・藤原幹夫)


出雲市立高松小学校(初)

 初めて学校賞を受賞しました。今回は、5年生が総合的な学習で1年間を通して「米作り」について学んだことをまとめたものと、夏休みに取り組んだ作品を応募しました。学校賞の受賞で、表現することの楽しさをたくさんの子どもに感じてもらえたらうれしいです。(校長・中井浩二)


出雲市立四絡小学校(2)

 夏休みの課題として、子どもが自由なテーマ、発想で取り組んだ新聞コンクールは、個性あふれる作品ばかりで、どれを読んでも楽しく興味深いものでした。新聞作りという、自分のワクワクを記事にする活動の楽しさが、子どもの主体的に学ぶ力を醸成していくのだと感じています。(校長・小川恵美)


江津市立桜江小学校(3)

 新聞を作り、発信することは、本校が大切にしている「自分で考え行動する」ことに大きくつながっています。今後も、子どもたちがどんなことに興味を持ち、どう発信していくのか楽しみです。(校長・南口周哉)


大田市立北三瓶小学校(7)

 ふるさと学習を基盤とし、各学年、あるいは個人が興味を持ったことについて調べ、まとめました。地元を深く知るためのよい機会になりました。さらに力を伸ばすためにも、新聞作りの基礎などについて学び直すことが必要だと感じています。(校長・掘江真佐邦)


松江市立義務教育学校玉湯学園(初)

 7年生(中1)は松江市内自主研修で体験したことや学んだ松江の魅力を自分たちの言葉で伝える学習を行っています。本年度はこれらを新聞にまとめることで、さらに情報を整理し、伝える力をつけることができました。(校長・千原敬史)


大田市立大田西中学校(3)

 1年生は「石見銀山とSDGs」、2年生は「修学旅行」、3年生は「職場体験学習」をテーマに出前新聞教室で学んだことを生かし、学習をまとめる新聞を制作しました。今後は、学んだことを学校内にとどまらず、発信するような取り組みを目指したいと思います。(校長・伊藤浩二)


出雲市立第二中学校(3)

 各学年で「総合的な学習の時間」で学んだことを新聞にまとめ、発信する学習活動を続けています。学年を追うごとに紙面の工夫や考察が深まっており、思考力、表現力の向上につながっていると感じています。(校長・森山雪美)


出雲市立第三中学校(4)

 コロナ禍の中で体験的学習が大きく制限されてきましたが、本年度は少しずつ再開できました。2年生は3年ぶりに復活した京阪神方面への修学旅行での学びを、1年生は福祉学習の10講座の学びを、それぞれ工夫してまとめました。実際に体験することの喜びが、新聞に表れていました。(校長・熊谷和夫)


島根大付属義務教育学校(5)

 8年生を中心に117の作品を出品しました。情報通信技術(ICT)の活用が進む中、手書きできれいにまとめられた新聞はとても見応えがあります。今後も、自分の興味のあるテーマを探究し、それを人に伝えるための一つの方法として、新聞にまとめる力を付けていってほしいと思います。(校長・常松浩)