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省エネ住宅 補助拡充へ/中古改修や先進新築物件/国交省/脱炭素化を後押し

 国土交通省は来年度から、省エネ住宅の補助金を拡充する。中古物件の一般的な改修を補助対象に加えるほか、トップレベルの省エネ性能を備える新築住宅に対する補助要件を緩和する。政府は2025年度以降、新築住宅に省エネ基準適合を義務付ける方針で、先立って建物の脱炭素化を後押しする。

 中古改修の支援は現在、長期優良住宅の認定を取得するなどの条件があるが、これらを満たさなくても壁に断熱材を入れる工事などで補助を受けられるようにする。自治体と費用を分担する形を想定、具体的な金額は財務省と協議する。

 一方、新築住宅は25年度に現行基準の省エネ適合が義務化。政府は、遅くとも30年までに、適合基準を年間エネルギー消費量の収支が実質ゼロとなるZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルに引き上げ、将来はこれを上回るLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅の普及を目指している。

 LCCMは建築から解体まで、長期間の二酸化炭素の総排出量を実質マイナスとする考え方。断熱性能をより高度化させたり、太陽光発電を導入したりする。現在は先進技術を用いたモデル事業に限って1戸当たり原則、最大125万円を支給している。国交省は来年度から全てのLCCM住宅を対象とする方向で、金額などを調整する。

義務化へ負担どう軽減/

 新築住宅に2025年度から省エネ基準適合が義務化される。脱炭素社会実現に向け再生可能エネルギー拡大を進める河野太郎行政改革担当相らが国土交通省に対応を強く求め、短期間で方針が決まった。ただ、マイホーム購入者らの費用負担軽減など課題は残る。太陽光パネル設置は当面の義務化を見送ったが、議論はくすぶりそうだ。

 今年2月、再エネ関連の内閣府会合で有識者メンバーは住宅を含む全建物の省エネ義務化を提言した。国交省側は「住まいは個人の選択もある」などと慎重だったが、河野氏は「再エネ拡大と同時に徹底的な省エネも必要。できないなら環境省に規制してもらう」と速やかな対応を要求。専門家からは「国交省はできない言い訳を並べるばかり」との声も出た。

 こうした外圧を背景に、国交省などの検討会は4月の初会合から約4カ月で、25年度義務化の方針を取りまとめた。

 基準適合には窓や壁の断熱、効率の良い給湯設備などが必要。費用は住宅規模で異なるが、光熱費を節約でき、10年程度で回収可能との指摘もある。ただ、国交省幹部は「これから住宅を買う若い世代にとって初期負担は小さくない」と話す。

 政府は購入者への融資や税制面の支援などを充実させる方針だが、具体策はこれから。断熱施工などの経験が少ない中小工務店の技術習熟をサポートする体制も必要だ。

 太陽光の義務化に踏み込まなかったのは、無理やり導入しても地域や立地の日照状況によって十分な発電量を得られないためだ。日本有数の豪雪地帯、青森県の工務店関係者は「パネル設置の元が取れず、家を建てるのを諦める人が増えるかもしれない」と危ぶむ。

 しかし、この問題も内閣府の会合で猛批判を浴びた。8月の検討会の取りまとめでは、30年に新築一戸建ての6割でパネルを設置する目標と「将来の義務化も選択肢の一つとして検討する」との文言が加わった。

 政府関係者は「多額の費用をつぎ込んででも太陽光が必要という国民の合意形成がない」として、義務化の結論は急がない考えだが、次期政権の方針によっては議論が再燃する可能性もある。

 太陽光パネルは中国製が7割以上のシェアを占める。ある自民党国会議員は「経済安全保障の観点からも課題がある。国内の生産体制を整えないと中国を利するだけだ」として、丁寧な議論が必要と訴えた。

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