建築家との家づくり

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第3回 住まいづくりのコスト

全体のコストについて

 家を建てるのに必要なコストは、大きくは建築工事費と諸費用に分けることができます。
 建築工事費はさらに、本体工事費と別途工事費や設計料などに分けられます。ハウスメーカー等のカタログ広告に表示される「坪当り○○万円」というのは、本体工事費のみを指す場合が多いようです。また、基準法床面積や施工床面積の捉え方により坪単価の算出も大きく変わり、一見して安い坪単価を表示し顧客確保を狙う場合も多くあります。契約後に「あれもこれも別途工事、最終的にはかなりの坪単価になった」という声もよく聞きます。
 建築工事費以外の諸費用が意外にかかることも頭に入れておかなければいけません。土地選びや資金計画の段階から適切なアドバイスを行う家づくりの専門家がいればいいのですが、業者の営業マンの戦略に乗ってしまうことが多いように思えます。
 大切なのは、家づくりに関するすべての費用を早期に的確に試算できるかです。重要なのは構造や間取り、素材、デザインなどのこだわりをその予算の範囲内でバランスよく設計することです。

費用

大まかに分けるとこういう項目の費用が必要です。

建築工事費について

 住まいづくりで、とても大切なものの一つが建築工事費です。かけられる費用をどこにどう配分し、生かしていくかが、設計の上で重要です。実際にかかった工事費を聞くとき、坪単価だけでは不十分です。建て主の要求が個々に違うからです。
 安全性の面、住み心地の面でかけなければならない所と、削っても良い所を見極めてアドバイスを行うのに最適なのが、設計事務所です。施工とは独立していますので、施主の立場で設計ができます。
 追加工事・別途工事についても設計事務所が間に入ると中立の立場なので、コストの増減を計算する時、「これは含まれていると思っていたのに・・」等というトラブルが起きにくいと言えます。
 建築工事費は施工業者から出される見積もり明細書に網羅されます。仕様や数量は設計図面を元に算出されます。注意したいのは、図面が簡素な段階での見積もりは、数量でなく一式いくらといった項目が、多くなったり、見積もり落しの項目も多く発生するということです。ですから、見積もり依頼の段階でどれだけ詳細な設計図がそろっているか、また、その内容を施主が了解しているかが重要です。
 最近は、小規模な住宅でも競争入札をする場合も多くなりました。大切なのは、同じ工法、同じ設備仕様、同じ仕上げ材料で見積もってもらっているという事です。(例えば安い材料を使えば当然安くなります。)その同じ土俵を作るのに、詳細な設計図が必要になります。詳細な設計図を元に各業者に見積もり明細書として提示してもらい、それを元に公正に比較して、施工業者を決定します。見積もり明細書の書式は各業者により、形式は異なります。同じ工事でもその項目とは違う項目に記入される場合もあったり、経費率や値引き率が極端に違っていたりして素人ではなかなか内容比較ができませんので、プロの目で見て判断します。
 心得としては安易な値引きでの早期契約は避け、減額のための変更内容をよく理解し、工事中の変更でも常に設計監理者や施工者を含めて増減計算を求めるようにしましょう。

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 ハウスメーカーで建てると、ある程度基本パターンが決まっていて、それに当てはめる感じになるので、その土地や家族の生き方と関係のない余分な部分があります。予算が限られている場合、その部分が既に無駄です。また、ハウスメーカーの展示場にあるのはフルオプションで、あれと同じものをイメージしていると、すごいコストがかかります。CMやモデルハウスの建築費用を捻出しなければなりませんから。
 最初から完成形がイメージしやすいハウスメーカーの方が楽という人や、さっさと引越ししたい人には建売がお勧めでしょうが、ほとんどがパッケージされたプランの中から選ぶので、その中にないような物を求めたい人には無理です。限られたコストの中で、自分のライフスタイルにあったものを建てたいという人は、設計料を払ってでも設計事務所がお勧めです。

実例

 設計事務所の設計監理料は、基本計画図・基本設計図・そして同じ土俵で請負工事見積ができる詳細な実施設計図の作成と、工事完成までの現場を監理するために必要な人役で決定します。(以前は工事費の10%が相場でしたが。)
 ハウスメーカーや工務店にたのめば設計料は数万円~数十万円である事が多いですが、やる仕事の量が違えば、減額する為に工務店に交渉したり、施主のコダワリポイントを充分理解し、無駄を省いて本当に必要なものだけにお金をかけたりするこのコスト調整は設計事務所ならではの技です。建築家ならではの知恵と工夫が生かされて、「ここはこれで代用しても問題ないです。」とか「既製品をこう使えば安くてもすてきでしょ」という風にコストをシェイプしていきます。トータルすれば設計料は充分モトがとれます。
 限りある大切な予算で建てる住まいです。住まいに合わせた暮らしかたをするのではなく、ローコストで、シンプルではあっても、自分の暮らしに合った住まいを建てましょう。

[写真]淺津圭司
[写真]事務所2F
建築設計事務所PRADO
代表 淺津圭司(あさつけいじ)
[プロフィール]
1959年 島根県松江市生まれ
1997年 建築設計事務所PRADO 設立[建築設計事務所PRADO]
住所:松江市八雲町西岩坂3990-38
電話:0852-54-9300
FAX:020-4624-0434
http://www.web-sanin.co.jp/p/keiji/
Email:prado@ps.web-sanin.jp

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