増改築プラザHOMe No.32住宅情報紙HOMeホーム
伝わる日本建築を生かしつつ
現代の暮らしに合った古民家のリフォームを実現
27畳の薪ストーブのあるプライベートリビング。天井を取り払い吹き抜けに
増改築プラザ松江店の家
歴代の当主が大切に受け継いできたN邸。出雲平野の水田地帯に建つ屋敷の天井を取り払い、日本建築の美と技を生かしながら、薪ストーブのあるモダンなプライベートリビングが誕生した。
採光に配慮し、天井の屋根の一部にガラスを採用
大切に受け継がれてきた築150年以上の日本家屋
出雲平野に田園風景が広がる斐川町。周囲をすべて田んぼに囲まれたN邸は、13代目に当たる当主と奥さまが昔ながらの日本家屋を守りながら暮らしている。
美しいたたきの玄関を入ると、まず目に入るのは、天井の太い梁。歴史を物語るに十分な貫禄がある。
「今の姿になってから150年は経っていると思います。構造自体は、もっと古いでしょうね」と、ご主人。8畳の二間続きの客間、床の間の建具や漆塗りの天井に、日本文化の粋が漂う。
今回のリフォームは、玄関、上がり框、そして4つの部屋に区切られていた奥側の和室だ。趣ある建築を生かしながら、現代の暮らしに合ったデザインや使い勝手を実現した改築となった。
27畳のプライベートリビングで炎を見つめ、暖を取る暮らしへ
奥側の4部屋は、本来、天井が低く圧迫感のある和室で、両親の他界後は使われることがなかった。しかし、伝えられてきた家を守りたい気持ちもある。都会に出た子どもが、兼ねなく友人を招くことができるようにもしておきたい。そうした思いからリフォームを決意し、27畳のキッチン付きプライベートリビングが生まれた。
天井を取り払うと、太く大きな梁が姿を現した。黒い梁や柱がより美しく映えるよう壁は白くし、そこに奥さまのアイディアで、地元作家の白磁器や陶器を飾る棚を設置。吹き抜けの美術館ロビーのような雰囲気に。屋根にガラスの天窓を付け、明るさも確保した。夏は、水田を通る涼風が吹き抜け、冬は薪ストーブが部屋を暖めてくれる。
「幼いころは、暮らしに炎がありました。それが懐かしくて、薪ストーブを設置しました。薪は、家の周りの木々で賄えますから」と、N氏。生まれ育った家を守りながら、いつか始まる人生第2ラウンドの暮らしを楽しみにしている。
リフォームに欠かせないアイテムだった薪ストーブ
DATA
築年数 | 約150年 |
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工期 | 2.5ヶ月 |
改修面積 | 88m²(26.6坪) |
構造 | 木造在来工法 |
竣工 | 2018年6月 |
家の特長(工法・材料・設備)
- 建物の形状をすっきりせるため、増築部分を解体し、北側の細かく仕切られていた元の生活部分を広いLDKへ改修。
- 圧迫感のあった低い天井は取り払い、広い吹抜け空間としました。天井裏に隠されていた古民家の古い梁や柱を表しとして、既存の襖・欄間の一部を再利用することで古民家の趣を残しました。
- 夏は風を通して涼しく、冬は薪ストーブの前で趣味の読書をゆっくり楽しめる、年中通してくつろげるプライベートリビングがここに完成しました。