素朴な和の外観と温かみある雰囲気の室内景観区域に心地よくなじませたこだわりの家
カントリー調のLDKは20畳と余裕のサイズで家具レイアウトも自由自在。漆喰塗壁のしっとりした質感がマッチする。床材は栗の無垢フローリング
松工建設の家
城下町の景観を大切に残す閑静な住宅街に違和感なく溶け込むのは、「松工建設」の手によって完成したN邸。二世帯住宅として考えられたコの字設計のフォルムを素朴な素材感で包みこんだ、独創的なジャパニーズ・モダンな住まいをレポートする。
古い街並みになじむ外観でさりげないこだわりを主張
江戸の街並み文化を色濃く残す住宅街に完成したN邸は、その風情ある周囲の環境に程よくなじませつつも、野趣あふれるぬり壁(白州そとん壁)を凝らした外壁等、さりげなく個性を主張する住まいだ。
白州そとん壁という独特な素材は、「一般的なサイディングに較べて質感も優れているうえ、メンテナンスフリーというのが気に入った」と施主自らが探してきたもの。この素材感に「松工建設」の提案による中庭仕様のシャープなフォルムが加わることで、独創的な和モダンの外観デザインが成立している。
シンプルで広いLDKと和室二世帯設計が独創を生む
この中庭のある家づくりは、1階正面にある平屋部分の和室を独立させ、将来的に二世帯住宅としても使えるよう考えたもの。その結果、リビングが家の奥側になったが、平屋(和室)部分の屋根高を抑えることで、奥のリビングにも自然光を誘い込み、夏場の強い日差しを和らげる効果も。和室とリビングをつなぐ動線には収納を集中させるなど、空間を無駄なく使う工夫も生きている。
N家の暮らしの中心となるLDKは、長方形の20畳というシンプルで広々とした空間を生かし、ソファやテーブル、テレビなど、生活アイテムの配置に余裕があり、現在はテレビ(AV台)の後ろにご主人の書斎を置くなど独創的で、「今の配置に飽きたら、その都度いろいろ変えてみるつもり」とその空間の広さを楽しむご夫妻。
そんな広々LDKのアクセントとなるのがキッチン部分。ダイニングとの仕切り壁にアンティーク調の造作棚を配し、キッチン(シンク側)は、対面式の開放感を損ねない程度に仕切り壁を設計し、そこにもまた収納棚を設計と、デザインと機能面をうまく両立させている。
また、ご主人が外壁と同様にこだわった内壁にはスペイン漆喰を採用。そのしっとりとした質感が、和と洋が折衷する住空間を心地よく融合させている。
白州そとん壁特有のザラザラ感が印象的な外観。1階屋根をガルバリウムでシャープに
建具類はすべてすべて室内の雰囲気に合わせた造作で統一する
アンティーク調の棚やガラスでダイニングキッチンも個性的
DATA
敷地面積 | 174.63m²(52.82坪) |
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延床面積 | 119.55m²(36.16坪) 1階 76.49m²+2階 43.06m² |
構造 | 木造瓦葺き2階建 |
用途地域 | 第1種中高層住居専用地域 |
建ぺい率 | 60% |
容積率 | 200% |
竣工 | 2016年4月 |
家の特長(工法・材料・設備)
- 外観/白州そとん壁
- 内壁/スペイン漆喰
- 景観区域の町並みになじんだ外観
- 採光を考えた中庭、階段
- 将来の同居を考えた間取り