賢明な資金・返済計画HOMe No.11住宅情報紙HOMeホーム
山陰中央新報発行の島根・鳥取の住宅情報紙HOMe No.11
賢明な資金・返済計画
ライフプラン作り無理なく返済を
念願かなって完成したマイホームも資金・返済計画に失敗すれば、手放さなければならない。その意味で、マイホーム建設のために最も大切なことは資金・返済計画といえる。
そこで、住宅問題に関する正しい知識の普及や被害防止など、広範な活動を展開しているNPO法人しまね住まいづくり研究会(理事長・塩田洋三島根県立大学短期大学部教授)に「失敗しない家づくり」のための賢明な資金・返済計画のポイントを聞いた。シリーズ第1回は、基本編。
Q1
マイホームの資金・返済計画は、基本的にどのように考えて立てたらよいのでしょう。
A
住まいは家族の幸せのために建てるものであり、財産として所有すればよいというものではありません。家を建てるに当たっては、家族の長期的な幸せを確保することが重要であり、住宅ローンのために余裕のない生活を強いられるのは不幸なことです。そのため、まず長期的な家族の暮らしの全体像(ライフプラン)を作成することが必要です。
Q2
ライフプランを作成する際、重要なことは何ですか。
A
特に重要なのは「年収」「子どもの人数」「定年」です。
例えば、山陰でも多くの金融機関が扱っている住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」の場合、上限8000万円、最大返済期間35年でローンを組めます。しかし、年収が低いと返済に追われ、日常生活に支障をきたします。
また、子どもが進学し、親元を離れると教育費が増大します。結婚資金も必要でしょう。子どもの人数によってはこの時期の家計が赤字になる家庭も多く、貯金を取り崩さなければならない可能性が出てきます。
さらに、退職後にローンを残すことは精神的に抑圧されるとともに、住宅は建設後20~30年で水回りなどのリフォームの時期を迎え、200万~300万円必要になりますので、定年後は余裕のある資金が必要です。長期ローンであってもできれば定年前の完済か、退職金による完済が望まれます。
このように、家族の長期的な暮らしのポイントが予測できれば、いろんな備えができ、安心して幸せな生活が送れます。
Q3
住宅ローンでは、いくらぐらい借りられますか。
A
金融の自由化に伴い、各金融機関が独自の住宅ローンをいろいろ商品化しており、融資額は、申込資格や金利、返済方法などで異なります。金利動向に気を付け、予定外の金利負担に悩まないように気をつけましょう。金融機関によっては、建物購入価格の90%まで融資可能な住宅ローンもありますが、やはり、家族の長期的なライフプランを考え、住宅ローンは「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら無理なく返せるか」で判断し、返済可能な範囲で借りるべきです。
ローンの借入金以外に、自己資金も必要です。住宅ローンの頭金のほか、外構工事費や耐久消費財購入費、登記費用など現金が必要な諸費用に充てます。諸費用は普通「建設・購入費の10%程度」必要とされます。ローンの頭金は普通、建築・購入費の20~30%程度必要とされていますが、住宅ローンの条件や金利動向、ライフプランなどを総合的に考えて判断するといいでしょう。