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こだわりのマイホーム(1)HOMe No.11住宅情報紙HOMeホーム

山陰中央新報発行の島根・鳥取の住宅情報紙HOMe No.11

こだわりのマイホーム(1)

松江堀川遊覧の景観大切に「健康な家」を追求。

  • 拡大こだわりのマイホーム(1)(1)
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 松江観光の定番・堀川遊覧。母衣町ラ・パン前から北田町の名刹(めいさつ)普門院前に向かう途中、船の前方突き当たりに、白壁とむき出しの小屋組、連格子の窓…と一見、江戸時代の町家風の建物が目に入る。この辺りは堀川遊覧の中でも有数の美景で、この建物は景観形成に一役買っている。

9割以上を夫人が設計
 松江市北田町の会社員Yさん夫婦(30代)の住宅で、8歳、6歳、4歳の子どもを育てる5人家族が住む。2006年12月に完成。敷地面積は170平方メートル、南北に長い「うなぎの寝床」状になっており、南側・東側はL字形に堀川に面している。木造2階建てで、延べ床面積は134平方メートル。

 設計は、学生時代に建築科で学んだというY夫人の希望が9割以上、生かされている。その最大の特徴は徹底したシックハウス対策だ。夫人は結婚後、県外で2年間、新築マンションや新築コーポで暮らし、激しい喘息(ぜんそく)と目の痛み・かゆみに襲われた。強度のシックハウス症候群で、原因となる化学物質の使用が法の基準値内でも、症状が出て苦しんだ。「私だけでなく、子どもにこの苦しみを与えてはいけない」という信念が生まれた。

シック対策を万全に
 シックハウス対策は主原因の化学物質を使わないこと、外部から入っても屋外に追い出すこと、またアレルギー源になるカビやダニを防ぐことなどが必要。この対策を一つ一つ実行していくと、木造、塗り壁、無垢(むく)のパイン材を使用したフローリング、真壁、発泡断熱材などを使い、そして24時間換気で、エコキュートによる床暖房などを備えたオール電化住宅となった。

 まず、接着剤(化学物質)を使う壁紙を止め、すべて塗り壁にした。それも調湿機能が高く、カビの原因になる結露を防ぐ珪藻土(けいそうど)の壁だ。それから木が持っている調湿機能を全面的に生かすために、屋内すべての空間で床材や梁(はり)、柱、桁(けた)などをなるべく表面に露出した。また、押入れや収納庫も木の性能を生かして桐(きり)張りにし防虫剤は使っていない。

結露防止を徹底
 屋根裏と外壁には断熱性・気密性に優れた発泡断熱材を使用した。これは水を発泡剤として使用するため、隙間なく家全体を覆い、壁体内部の結露を防止、加えて漏気をなくし、24時間換気を効率よく実現させている。

 足元からポカポカと暖かい床暖房を採用したことで、ダニなどの発生原因となるカーペットを一切使用していない。この床からの暖気を家中に行き渡らせるために1階リビングを吹き抜けにした。さらに断熱効果に優れ、結露の生じない樹脂サッシを取り入れシック対策万全の家になっている。

エコロジーで景観重視
 この「健康な家」の追求は、自然にエコキュートのオール電化につながっていき、Yさん宅は、二酸化炭素排出を大幅に削減する、優れたエコロジー住宅にもなっている。

 「健康な家」の次に大切にしたのが堀川に面した景観。堀川遊覧船が正面から来る南側は、明かりを目いっぱい取り入れるために窓を大きくしている。景観を考慮して窓は連格子に。小庭を仕切る柵は町家の板塀風にして、色も橋の欄干の色に合わせている。「以前、松江に帰るたびに宍道湖の水辺が心を癒やしてくれた」といい、この新居でも水辺の景観を重視した。

自宅ショップ・展示会を開催
 間取りは、広々とした1階のリビングと吹き抜けでつながる2階のフリースペースが特徴的で、子どもたちが元気に駆け回っている。子どもの成長を考えて、将来、大人・子どもそれぞれのベッドルームが間仕切りされる。

 また、2階の広いスペースは夫人の趣味の仲間の交流の場にもなっている。結婚後に手がけたプリザードフラワーや手芸、刺繍(ししゅう)など手作りのインテリアを楽しむ仲間たちで現在、メンバーは8人。完成1年後に、自宅ショップ・展示会を開催して好評だった。夫人は「趣味を通じて友達の輪が広がる場にしたい。これからも機会を見つけて開いていく」と話している。

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