生涯を通じた健康で質の高い生活を送るためには、正しい生活習慣を身につけ、日ごろから生活習慣病予防に務めることが大切です。これまでの健康管理は、自分自身で食生活や運動習慣、休養に気を配るなど、個人に対する取り組みが中心でした。しかし、生活習慣病予防の増加・若年化やメンタルヘルスの問題など、個人への対策だけでは解決出来ない課題も多く、企業や地域社会全体で取り組む必要性が高まっています。
 いま、従業員の健康増進を図ることで生産性や企業カチを高める「健康経営」という考え方が全国的に注目を集めています。そこで、山陰中央新報社では、島根県や全国健康保険協会島根支部、県商工会議所連合会などの関係団体と協力し、「健康経営推進で健康長寿日本一へ しまね健康づくりキャンペーン」を展開します。

健康経営推進企業紹介

従業員の健康を企業の経営資源と捉え、健康推進を図る「健康経営」に取り組む企業が増えている中、「健康経営アドバイザー」(アクサ生命所属)が推薦する、従業員の健康管理や働きやすい社内環境の構築などに積極的な企業を紹介します。

株式会社フクテコ

●計画的な健康経営で 一層の生産性向上へ

中海に面した松江市東出雲町で農業用機械部品など金属部品加工を業務とする株式会社フクテコ(福頼弘樹社長)は、社員の健康づくり支援に積極的に取り組むことで、さらなる企業体質の強化と技術力向上につなげている。
同社では、朝のラジオ体操や定期健康診断の全社員受診をはじめ、商工会ボウリング大会や松江市民レガッタへの参加などの健康づくりに取り組んできた。2018年からは社員のさらなる健康づくりに着手するため、全国健康保険協会やアクサ生命保険からのサポートを受けながら「健康経営活動計画」を作成した。
活動計画では、検診・学び・運動の3つの項目を設定。検診では、要治療(要再検査)対象者に対する受診や特定保健指導の受け入れ態勢を強化。要治療対象者には、年2回の社長面談時に医療機関への受診を促している。学びでは、アクサ生命保険が実施する「健康習慣アンケート」や「職域健康セミナー」を活用。全国健康保険協会主催の「健康で長生きする秘訣」や「歯周病と生活習慣病」など健康をテーマとした出前講座も定期的に受講するようになった。
運動においては、社内に「健康増進部」を創部。「製造業なので、機械と向き合う時間が多く、適度な運動や社員同士のコミュニケーションが十分ではなかった」と話す福頼社長。健康増進部では、毎年秋に開催される東出雲町駅伝への出場や、松江市と安来市との境界にそびえる京羅木山へのハイキングを行った。19年は希望者が気軽に参加できる形で、毎月第3水曜日の定時後、中海沿いのウォーキング・ジョギングを企画するなどした結果「社員同士の横のつながりができ、体調不良で休む社員も減ってきている」と効果を実感する。20年4月以降はコロナの影響で集まっての活動を中止しているが、自主的に運動する社員も増えており、状況を判断しながら今後も企画していく考えだ。
その他の取り組みとして毎年1回社員家族向けの「家族工場見学会」を企画。見学を通じて、家族に会社の魅力を知ってもらうと同時に、家族のきずなや職場への安心感を深めてもらうことを目的として実施。社員のモチベーションアップにもつながっている。
福頼社長は「弊社では発注者に対して品質・コスト・付加価値はもちろん、いかにスピード感を持って応えられるかが大切。社員一人一人が健康であることは、結果として企業の生産性向上を実現すると考えている」と健康づくりへの想いを語る。


●健康経営アドバイザーからのコメント

福頼社長が率先垂範で健康経営を推進し、社内にどんどん波及する様子をいつも拝見しています。定期的な情報提供でこれからもサポートをさせて頂きます。







協栄金属工業株式会社

●安全・健康管理の徹底で 居心地いい会社目指す

島根県東部の雄大な山々に囲まれた雲南市掛合町で金属製品製造業を営む協栄金属工業(小山久紀社長)は、安全は全てに優先するという基本方針のもと社員の「安全第一」を徹底することで健康経営につなげている。3月には健康経営優良法人の中でも特に優れた企業として「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)ブライト500」に認定され、取り組みは年々評価されている。
同社が安全・健康管理の徹底に乗り出したのは、小山社長が就任した2010年。小山社長は「当時、休業災害などが発生し労働基準監督署がたびたび訪れていた。社員を守らないといけないと思った」と振り返る。現在、安全衛生委員会を統括安全衛生管理者、産業医、各部署の代表ら13人で組織。全員が安全意識を持つという年間スローガンのもと週1回以上の安全・衛生パトロール、産業医らによる定期巡視を実施。委員会内で巡視結果や他社で発生した労災事故など報告し、掲示板などを通じて全社員に共有。改善点がある場合は次回の委員会までに是正できるよう努めている。
広大な敷地で120台以上の生産設備を所有する同社では、職場環境改善にも力を入れる。暑さ対策として、工場屋根の遮熱塗装工事や冷暖房を完備したほかLED照明を設置。喫煙専用室の設置、トイレや社員の休憩室なども改修した。改善には毎年実施している職場のストレスチェックのデータも活用。高ストレス者と判定された人の割合が2017年は20%だったが、原因の一部が職場環境にあることを分析し、2020年には6.2%まで減少した。
4年前からは3S(整理・整頓・清掃)活動、職場美化活動にも着手。朝の10分清掃や不要備品の撤去、フォークリフトと人との接触危険をなくすための区分け作業など、社員自らが率先して活動に取り組んでいる。
その他、心と体の健康づくりでは、毎年全社員を対象に定期健康診断、有機溶剤健康診断、特殊健康診断(じん肺)を実施するほか、朝のラジオ体操を採用。心のケアとして、ハラスメントとメンタルヘルスの相談窓口も設置している。
コロナ禍で満足にはできなかったが、バーベキュー大会や全社忘年会、社員旅行の実施など家族ぐるみのコミュニケーションも魅力の一つ。小山社長は「これからも居心地がいい会社を目指し、みんなが協力し合い、繁栄する会社にしていきたい」と力強く話す。



●健康経営アドバイザーからのコメント

小山社長は、従業員を健康と働き方を大切にする経営スタイルに拘りを持っています。また、「認定を受ける事が目的化しないように取組そのものをしっかり考え実行し、結果として認定される事」の重要性を常々話されています。ブライト500にも認定された「小山社長の健康経営」をこれからも全面的に応援させて頂きます。





主唱/山陰中央新報社、全国健康保険協会島根支部

特別協賛/アクサ生命保険

後援/島根県、島根県健康福祉部、島根県商工労働部、島根県商工会議所連合会、島根県商工会連合会、島根県中小企業団体中央会、島根経済同友会、島根県経営者協会、島根県医師会、島根県社会保険協会、島根県社会保険労務士会、島根労働局

企画・制作/山陰中央新報社ビジネスプロデュース局