生涯を通じた健康で質の高い生活を送るためには、正しい生活習慣を身につけ、日ごろから生活習慣病予防に務めることが大切です。これまでの健康管理は、自分自身で食生活や運動習慣、休養に気を配るなど、個人に対する取り組みが中心でした。しかし、生活習慣病予防の増加・若年化やメンタルヘルスの問題など、個人への対策だけでは解決出来ない課題も多く、企業や地域社会全体で取り組む必要性が高まっています。
 いま、従業員の健康増進を図ることで生産性や企業カチを高める「健康経営」という考え方が全国的に注目を集めています。そこで、山陰中央新報社では、島根県や全国健康保険協会島根支部、県商工会議所連合会などの関係団体と協力し、「健康経営推進で健康長寿日本一へ しまね健康づくりキャンペーン」を展開します。

県内企業の取り組み紹介

 従業員の健康を企業の経営資源と捉え、健康増進を図る「健康経営」の考え方が全国的に広がっています。島根県では、昨年から全国健康保険協会島根支部が中心となり、島根県・山陰中央新報社とともに健康経営に取り組む企業を増やす取り組みとして「ヘルス・マネジメント認定制度」を展開しています。
 同制度にエントリーする県内企業の取り組みを紹介します。

大畑建設(株)

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・健診受診率100%
  • ・健診後の保健指導の積極的な活用
  • ・健康づくりセミナー等への積極的な参加
  • ・過重労働防止に向けた社内規定の整備
  • ・健康情報等、従業員への情報提供
  • ・有給休暇の取得率向上に向けた5日連続休暇規定の整備や、ノー残業デーの実施など、適切な働き方に向けた取り組み
  • ・社員旅行の実施や部活動の補助等、コミュニケーションの促進に向けた取り組み
  • ・地域のマラソン大会、駅伝大会への積極的な参加
  • ・本社建物、車両内全面禁煙
  • ・会社負担によるインフルエンザ予防接種の実施

●企業経営者の思い

 当社は経営理念の一つに「会社の繁栄は、社員の生活と幸せのために」ということを掲げており、人を大切にする経営を継続しています。その中で、従業員の健康に対しては、「健康経営」という言葉が生まれる以前から上記のような様々な取り組みを行っており、健康に対する意識は向上しています。
 少子高齢化・生産年齢人口の減少という問題が顕在化し、働き方も変化していく中で若い従業員から高齢の従業員までが心身ともに健康で働けることは、生活の質の向上、従業員と家族の幸せの実現をもたらし、そのことが従業員の活力向上、また生産性も向上させ、会社の価値向上と継続的発展に繋がると確信しております。
 2月21日には経済産業省・日本健康会議主催の「健康経営優良法人2017」に認定されました。今後も今までの取り組みを評価・改善し、新たな取り組みも行い、健康経営を戦略的に実践していきたいと考えております。

仁多郡森林組合

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・健診受診率100%
  • ・健診後の保健指導の積極的な活用
  • ・再検査等が必要な職員への積極的な受診勧奨
  • ・建物内禁煙
  • ・管理職からの声掛けによる継続的な定時退社の実施

●企業経営者の思い

 従業員一人一人の健康は、当組合にとって財産であり、皆さんが心身ともに健康で働き続けることができる職場を目指しています。
 毎月の作業前ミーティングでは全従業員へ健康に関する情報を配布、誕生月には家族を含めての従業員の健康管理についてメッセージカードを送付しています。
 挨拶や声掛けを大切にし、心身共に元気でけが無く働ける職場づくりは経営向上に結び付くという思いから健康経営を進めます。

(有)エム・コーテック

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・健診受診率 100%(全額会社負担)
  • ・建物内及び社用車全車禁煙
  • ・ラジオ体操の実施(毎日)
  • ・全額会社負担による人間ドックの実施(40歳以上・5歳刻み)
  • ・朝昼の作業着手前に健康チェックシートによる体調管理の実施
  • ・インフルエンザ予防接種費用を全額会社負担(希望者のみ)
  • ・非喫煙者には期末賞与にて特別増額支給(10万円)

●企業経営者の思い

 2年前までは社長である私自身も現場でフルに働き、社員教育については「見て覚えろ」というスタンスでした。しかしながら多忙の毎日が続く中、求人をしても人は集まらず、労働力不足に焦りを感じ始めていた頃に「健康経営セミナー」を受講しました。その中で、私が現場で作業することは自己満足に過ぎず、社員が健康でやりがいのある環境づくりをすることこそが経営者の役目と感じました。現社員の定着化を図り、小さいけれど魅力ある会社にするために、まずは“心と体の健康”を最も重要視しながら社員の豊かな生活を守っていきたいと思っています。
 幸いに今では優秀な社員ばかりで安心して現場を任すことができていますが、経営者として今回の認定に満足することなく、さらに知識を高めて社員の幸福度向上を目指し、当社の3K(健康で・希望が持て・給料が良い)のためにまい進していきます。それがお客様の満足と社会貢献につながるものと信じて。

(株)テクノプロジェクト

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・「ヘルスケアプロジェクト」による社員の健康推進
     −医師・管理栄養士とチームを組み、生活習慣病予防への取組みを全社員へ展開中。(個人毎の栄養指導・血液検査、社内セミナー)
     −理学療法士による運動指導の実施
  • ・メンタルフォロ−を目的とした、カウンセラー利用助成金支給制度
  • ・家族の健康支援策の実施
     −ファミリーサポート休暇(30分単位での休暇取得が可能)制度
     −病児保育利用時の助成金支給制度
  • ・人間ドック受診者への助成金支給制度
  • ・社内での歯科検診の実施(歯科医による歯科健康診断・歯周病唾液検査)
  • ・社内でのインフルエンザ予防接種の実施及び助成金支給制度
  • ・AED、血圧計、体重計、マッサージチェア、空気清浄機、加湿器、リフレッシュルームなどの環境整備
  • ・マラソン部の設立(ホノルルマラソンを目指して!)

●企業経営者の思い

 雇用延長が進む中で、社員が心身ともに健康であることの重要性は増しています。健康経営に対する取り組みは、社員に永く活躍してもらうための環境づくりと考えています。「ヘルスケアプロジェクト(管理栄養士さんによる「食」を中心とした個別指導)」に参加した社員のアンケートの中に、「体調が改善されたことで集中力・やる気が高まった」との回答があり「心と体」の両面で効果を実感しています。
 現在、弊社のヘルスケアプロジェクト全体を監修いただいている島根糖尿病療養支援機構様と弊社で行った取り組みを島根県全体に広げる活動を行っています。少しでも島根県が抱える医療課題(医療従事者の不足や医療費の高騰など)解決に貢献できればとの思いで活動しています。

健康経営とは

 健康経営とは、従業員を企業における「資産」と捉え、健康の維持・増進が将来的に企業の収益性を高める積極的な投資であるとの考えのもと、従業員の健康管理を経営的な視点から考え戦略的に取り組むこと。従業員の活力向上や生産性向上等の組織活性化をもたらし、結果的に業績向上などにつながると期待される。
 また、国民の生活の質の向上や国民医療費の適正化など、社会課題の解決に貢献するものであると考えられている。

主唱/山陰中央新報社、全国健康保険協会島根支部

特別協賛/アクサ生命保険

後援/島根県、島根県健康福祉部、島根県商工労働部、島根県商工会議所連合会、島根県商工会連合会、島根県中小企業団体中央会、島根経済同友会、島根県経営者協会、島根県医師会、島根県社会保険協会、島根県社会保険労務士会、島根労働局

企画・制作/山陰中央新報社ビジネスプロデュース局