生涯を通じた健康で質の高い生活を送るためには、正しい生活習慣を身につけ、日ごろから生活習慣病予防に務めることが大切です。これまでの健康管理は、自分自身で食生活や運動習慣、休養に気を配るなど、個人に対する取り組みが中心でした。しかし、生活習慣病予防の増加・若年化やメンタルヘルスの問題など、個人への対策だけでは解決出来ない課題も多く、企業や地域社会全体で取り組む必要性が高まっています。
 いま、従業員の健康増進を図ることで生産性や企業カチを高める「健康経営」という考え方が全国的に注目を集めています。そこで、山陰中央新報社では、島根県や全国健康保険協会島根支部、県商工会議所連合会などの関係団体と協力し、「健康経営推進で健康長寿日本一へ しまね健康づくりキャンペーン」を展開します。

「健康経営」の普及・促進を目指して

  高齢化や生活習慣病の増加、メンタルヘルスへの関心の高まりなどを背景に、健康年齢の延伸、生活の質の向上に向けた取り組みが政府や民間組織「日本健康会議」などにより本格化。事業所や地域社会全体で取り組む必要性も高まっています。その中で、全国健康保険協会(協会けんぽ)は、中小企業などで働く従業員とその家族など約3600万人の加入者を抱える日本最大の医療保険者として、国民の健康づくりに大きな役割を担っています。同島根支部は、企業の成長や価値を高める「健康経営」の普及・促進を目的に2016(平成28)年度から独自の「ヘルス・マネジメント認定制度」をスタートさせました。
 しまね健康づくりキャンペーン3回目となる今回の特集では、協会けんぽ島根支部の大塚正明支部長に、自治体などと連携した県民の健康づくりへの取り組み、認定制度の概要などを聞きました。

「ヘルス・マネジメント認定制度」スタート

健康寿命延伸へ

 人間、健康で生き生きとした人生を、できるだけ長く送ることは誰しも望むところです。しかし、現実には、労働人口の減少、増加する生活習慣病、深刻化するメンタルヘルスなどが社会的問題となり、健康対策は喫緊の課題といえます。政府の日本再興戦略は国民の健康寿命の延伸を重要な柱として掲げ、日本健康会議は健康寿命延伸と共に、医療費適正化も目的としています。協会けんぽとしても、加入者の健康づくり推進を実践していくことが、そうした社会問題解決に結びつくと同時に、医療費の適正化に向けての効果的方法と考えています。
 個人では、食生活、運動、休養など自らがバランスよく健康対策に取り組んでいくことが必要であり、事業所にあっては経営者が従業員の健康管理に関心を持ち健康づくりへの支援を行うことによって、さらにその効果を上げていくことが極めて重要です。全国の事業所の7割を占める中小企業による従業員への健康対策は、事業所の生産性向上の観点から、日本全体の経済活動にも大きな影響を及ぼすと言えます。

自治体などと連携

協会けんぽ島根支部では2014(平成26)年、島根県と健康づくりで連携協定を結んだのを皮切りに、県内8市や医師会など医療提供団体とも健康づくり推進に向けた連携協力態勢の構築を図ってきました。たとえば、各市が実施するがん検診と協会けんぽの被扶養者を対象とする特定健診とのセット受診など各事業活動の中で、実効性のある取り組みを指向しています。

事業所との連携

 協会けんぽは、職域最大の医療保険者として、事業所との健康づくり推進の連携(コラボヘルス)を実践していくことを極めて重要な役割ととらえています。「健康経営」の普及促進に取り組んでおり、全国47支部の内3分の2の支部が事業展開中です。事業所にとっても、従業員の健康は、重要な経営資源としてとらえ、維持することは生産性の向上に直結します。内外に公表することにより、イメージアップにもつながります。

健康宣言1000社目標

 ヘルス・マネジメント認定制度は、協会けんぽ島根支部、島根県および山陰中央新報社の3者共同事業として実施。また、事業主の協力と理解があって初めて顕著な成果が表れることから、中小企業を会員に持つ経済団体や社会保険労務士会とも幅広く連携し周知に努めています。
 この制度のポイントは、まず事業所に「健康宣言」というアクションを起こしてもらうことです。各種対策を実施し、認定基準をクリアした場合、協会けんぽと島根県の連名による認定証が交付されます(認定事業所として登録)。認定事業所は金融機関からの貸出金利優遇を受けることができます。
 スタート2カ月あまりで、健康宣言事業所は30社となり手応えを感じています。1000社を目標に周知に努めていきます。1社でも多くの事業所に、まず、健康宣言エントリーしていただくよう願っています。
 健康経営の普及、定着によって、健康で働く人が増えれば、結果的に医療費の適正化が図られ、地域の活性化にもつながります。企業、人、地域がウィンウィンの関係を築いていけると考えています。

健康経営とは

 健康経営とは、従業員を企業における「資産」と捉え、健康の維持・増進が将来的に企業の収益性を高める積極的な投資であるとの考えのもと、従業員の健康管理を経営的な視点から考え戦略的に取り組むこと。従業員の活力向上や生産性向上等の組織活性化をもたらし、結果的に業績向上などにつながると期待される。
 また、国民の生活の質の向上や国民医療費の適正化など、社会課題の解決に貢献するものであると考えられている。

日本健康会議とは

 「健康寿命」を延ばして膨張を続ける医療費の抑制を目指し、予防や健康づくりにつながる活動を連携して広げることを目的に、2015年7月10日に発足。経済団体や自治体、医療関係団体、有識者などで構成される。生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800市町村、協会けんぽ等のサポートを得て健康宣言に取り組む企業を10000社以上にするなど、2020年までに実現を目指す八つの数値目標を盛り込んだ宣言を発表した。

主唱/山陰中央新報社、全国健康保険協会島根支部

特別協賛/アクサ生命保険

後援/島根県、島根県健康福祉部、島根県商工労働部、島根県商工会議所連合会、島根県商工会連合会、島根県中小企業団体中央会、島根経済同友会、島根県経営者協会、島根県医師会、島根県社会保険協会、島根県社会保険労務士会、島根労働局

企画・制作/山陰中央新報社ビジネスプロデュース局