しまねの地域包括ケア

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患者宅に薬を配達し服薬指導も

株式会社トラスト 太陽薬局(松江市西川津町1204)

代表 郡山 信宏さん(52)

患者宅に薬を配達し服薬指導も

在宅療養をしている人の生活環境は千差万別で、心身の不調による薬の飲み忘れ、飲み間違いが心配され、時に命の危険をもたらすことさえある。そんなリスクを減らすため、松江市の薬剤師・郡山信宏さん(52)は薬局勤務時代の約10年前から在宅訪問支援に挑戦。2011年に独立し、市内に2店舗を構えながら施設、自宅を対象に訪問活動を続けている。
 この日訪問した市北部の農村に住むAさん(83)は認知症の妻を施設に預けて一人暮らし。長身で頑健そうだが心筋梗塞の恐れを常に抱えており、自宅玄関脇の居室のベッド横には血圧計、電話の子機と連絡先を大書した紙が置いてあった。「また来たよ。顔分かる?」。明るく会話しながら郡山さんが複数の薬を一包にまとめて、ふすまに張った服薬カレンダーのポケットに入れ、服用の注意を念押しする。
 Aさんは週3回のデイサービス利用に加え、2回のヘルパー訪問を受けているが、数日でも薬を飲み忘れれば発作再発のリスクが高まる。薬剤師の訪問支援には薬代のほか、介護保険適用の場合は「居宅療養管理指導費」が自宅療養で503円(施設療養で352円)、医療保険適用の場合は「在宅患者訪問薬剤管理指導料」が同650円(同300円)かかる。※1 「薬の配達にしては高いという誤解があるが、医師の処方を守ると同時に飲みやすく錠剤を粉砕したり、とろみを添加したりもする。患者さんに合わせたさまざまなケアを駆使する」と郡山さんは安全安心といった訪問によるメリットを強調する。
 訪問認定は毎月4回までだが、医師へ定期的に状況報告するほか、うつ症状などの発生、変化をケアマネジャーに伝える地域医療のジョイント役も果たす。延べ約20人と契約、訪問する中で、終末期医療における患者や家族への専門的助言も経験してきた。
 郡山さんによると、まだ医療・介護関係者の間でも薬剤師の在宅訪問支援に対する理解は十分でないとのことだが、日本薬剤師会は飲み残し薬剤費の9割解消、医師の負担軽減などを推進効果に挙げている。
※1…Aさんの場合

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