生涯を通じた健康で質の高い生活を送るためには、正しい生活習慣を身につけ、日ごろから生活習慣病予防に務めることが大切です。これまでの健康管理は、自分自身で食生活や運動習慣、休養に気を配るなど、個人に対する取り組みが中心でした。しかし、生活習慣病予防の増加・若年化やメンタルヘルスの問題など、個人への対策だけでは解決出来ない課題も多く、企業や地域社会全体で取り組む必要性が高まっています。
 いま、従業員の健康増進を図ることで生産性や企業カチを高める「健康経営」という考え方が全国的に注目を集めています。そこで、山陰中央新報社では、島根県や全国健康保険協会島根支部、県商工会議所連合会などの関係団体と協力し、「健康経営推進で健康長寿日本一へ しまね健康づくりキャンペーン」を展開します。

県内企業の取り組み紹介

 従業員の健康を企業の経営資源と捉え、健康増進を図る「健康経営」の考え方が全国的に広がっています。島根県では、昨年から全国健康保険協会島根支部が中心となり、島根県・山陰中央新報社とともに健康経営に取り組む企業を増やす取り組みとして「ヘルス・マネジメント認定制度」を展開しています。
 同制度にエントリーする県内企業の取り組みを紹介します。

JAしまねくにびき地区本部

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・健診受診率100%(業務命令として指示)
  • ・35歳以上は生活習慣病予防健診を受診
  • ・健診後の精密検査等に該当した職員への受診推奨
  • ・地区対抗ゴルフ大会や野球大会を実施し、スポーツによる健康づくり
  • ・松江市のワークライフバランス推進ネットワークに参加
  • ・人間ドック、インフルエンザの助成
  • ・メンタルヘルス研修の実施
  • ・メンター制度の実施による新入職員フォロー

●企業経営者の思い

 JAグループでは、「食と農を基軸とした地域に根ざした協同組合」として、介護保険事業などの高齢者福祉事業に取り組んでいますが、介護予防を重視し、高齢になっても元気で過ごしていただくため「JA健康寿命100歳プロジェクト」を展開しています。
 具体的には、「運動」「食事」「健診・介護・医療」の3つを柱に「いきがいとゆとり(=社会参加)の活動」を加え、組合員・地域住民の皆さんの健康寿命を創造するとともに、地域コミュニティの再生をも目的として活動展開を図るものです。
 この取り組みの活動対象は、地域住民の方々への展開も含め、JA助けあい組織、JA女性組織などを中心に展開し、拡大を図っています。
 一方、職員や家族が健康で文化的な生活を送り、当JAが働き甲斐のある職場として存在し、経営体としても健全にあることが、組合員や利用者の皆さんにとっても有益と考えます。
 そのためにも、一人ひとりの職員が、服務心得に掲げるとおり、自らが常に健康に留意し、明朗はつらつたる態度をもって働けるよう環境を整備します。具体的には、①健診による重症化防止、②健康管理と安全衛生への取り組み、③禁煙対策、④メンタルヘルス対策、⑤コミュニケーションによる活気溢れる職場環境づくりに重点を置き、心身ともに健康で意欲的に働き続けることができる組織を目指します。

島根県環境保健公社

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・40歳以上が全員生活習慣病予防健診を受診
  • ・人間ドック、生活習慣病予防健診、がん検診の受診料の補助
  • ・精密検査受診、保健指導受診時の勤務時間の配慮
  • ・時間外勤務等検討委員会を設置して、超過勤務の削減に努めている
  • ・週1回のノー残業デーの実施
  • ・ストレスチェックを実施
  • ・メンタルヘルスセルフチェックを年2回実施
  • ・メンタルヘルスの相談窓口を設置し周知している。産業医が常駐し相談できる体制を整えている
  • ・社内スポーツ大会の開催

●企業経営者の思い

 当公社では、県民の健康と暮らしの安全に貢献できるよう事業を行っておりますが、そのためには、職員の健康の維持・増進に取り組むことがとても重要であると考えています。具体的には、職員の健康診断については、全員が受診できるように配慮し、健診結果により保健指導が必要となった職員は、保健指導を受けることにより生活習慣の改善を図っています。
 また、職員の福利厚生事業の一環として、社内で年数回のスポーツ大会を開催し、職員間の交流促進を図っています。さらに、ワーク・ライフ・バランスの実現のため、労使で構成する「時間外勤務等検討委員会」のなかで時間外勤務に縮減を検討し、そのうえで年次有給休暇等の取得促進のための取り組みを行っています。
 ひき続き、職員が健康で安心して働くことのできる環境づくりのため、健康経営を進めてまいります。

山興緑化有限会社

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・健診後の協会けんぽによる保健指導の積極的な活用
  • ・35歳以上は生活習慣病予防健診を受診
  • ・たばこ対策をはじめとする健康づくりセミナー等への積極的な参加
  • ・建物内及び社用車内全面禁煙、勤務時間内禁煙の実施
  • ・ノー残業デーの実施
  • ・毎年5月に従業員及びその家族、お取引先様及びその家族による山の環境整備を行い、従業員同士のコミュニケーション構築を行っている
  • ・午前10時、午後3時にリフレッシュタイムを設けている
  • ・年に一度の社員旅行及び忘年会の開催


●企業経営者の思い

 当社は「働くときにはしっかり働き、遊ぶときにはしっかり遊ぶ」をモットーとしています。心身ともに健康でなければ働くことも楽しむことも難しくなります。「社員の健康なくして会社の経営は成り立たない」という観点から、当社では様々なアプローチを行っています。平成28年より本格的に「勤務時間内禁煙」を実施し、喫煙率は大幅に減少しました。
 また、70歳までの再継続雇用制度を導入していますので、高齢社員への日々の声掛け、健康管理も重要となっています。社員の健康が保たれ、稼働率が安定することは、島根県の循環型社会構築の一助となります。社会貢献になることを信じて、社員家族も巻き込みながら社員の健康に積極的に関与していきたいと思います



イズテック株式会社

●従業員の健康に対する取り組み

  • ・40歳以上が全員生活習慣病予防健診を受診
  • ・スポーツレクリエーションの実施
  • ・全社員参加の忘年会や若手社員との交流会の実施
  • ・建物内及び社用車内禁煙
  • ・週に1回のノー残業デー、禁煙デーの実施
  • ・就業時間中にインフルエンザの予防接種の実施(一部会社負担)
  • ・外部講師による健康に関する講話の実施
  • ・スポーツジムと法人契約を行い、従業員は無料で利用可能
  • ・テレワーク(在宅勤務)の導入


●企業経営者の思い

 数年前、災害が発生したこともあり、仕事量が増大し、社員には非常に負担をかけてしまいました。結果残業や休日出勤が増え、定期健康診断で「要治療」、「要精密検査」と診断された社員が増えていきました。
 我々の会社は限られた人材・人数で仕事を行っているため、社員が倒れればダメージは深刻です。そのため改善策を早急にとる必要があり、衛生委員会を中心に残業時間の把握や管理方法、その他対策等を考えました。
 社員の健康を第一に考え、ITの活用による仕事の負担軽減や、ワークライフバランスの考えによる働き方の新たな取り組みを行っています。また社員とのコミュニケーションにも重きを置き、若手社員との交流会を開催するなどし、心身ともに“明るく前向き”に働けるよう経営を行っています。

健康経営とは

 健康経営とは、従業員を企業における「資産」と捉え、健康の維持・増進が将来的に企業の収益性を高める積極的な投資であるとの考えのもと、従業員の健康管理を経営的な視点から考え戦略的に取り組むこと。従業員の活力向上や生産性向上等の組織活性化をもたらし、結果的に業績向上などにつながると期待される。
 また、国民の生活の質の向上や国民医療費の適正化など、社会課題の解決に貢献するものであると考えられている。



主唱/山陰中央新報社、全国健康保険協会島根支部

特別協賛/アクサ生命保険

後援/島根県、島根県健康福祉部、島根県商工労働部、島根県商工会議所連合会、島根県商工会連合会、島根県中小企業団体中央会、島根経済同友会、島根県経営者協会、島根県医師会、島根県社会保険協会、島根県社会保険労務士会、島根労働局

企画・制作/山陰中央新報社ビジネスプロデュース局